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債務者度という考えかた

消費税の簡易課税制度。事業を第1種から第5種まで区分し、見なし仕入れ率を設定しています。卸売業90%、小売業80%、製造・建設70%、飲食店は60%、サービス業50%。

この見なし仕入れ率は、債務者度、という言葉に置き換えることができます。卸売業は売上の90%を他社のために働く商売です。債務者度90%の商売です。仕入れ先のために、物をお金に変え、お金を回収してさしあげる商売です。事業の会計学的な特性も見えてきます。見なし仕入れ率は、債務者度をはかる尺度です。債務者度の高い事業は、自社の財務に他社の財務が含まれる、リスクの高い商売です。

債務者度の高い商売を、債務者度の低い商売に変えることはできないか。財務のリスクを減らすことはできないか。経営者は苦心しています。トヨタのかんばん方式は有名です。受注してから必要な部品だけを仕入れ生産します。お金が先、の発想です。余計な在庫、在庫のスペースをもたない工夫です。売り掛けもなければ、買い掛けもなくす工夫です。トヨタにも、銀行融資が得られず資金に窮し苦しんだ時期があったといいます。現金商売への憧れ。それがかんばん方式を生みだしたということです。

建設業ではCM方式が広まっています。分離発注というやり方です。住宅建築には20業種ほどの専門業者が必要です。元請け会社は、数多い外注業者の債務者になる立場です。小さな元請け会社の場合、財務の負担は大変なものです。CM方式は、施主が専門業者それぞれと契約し仕事をすすめる方式です。工事代金は施主が業者それぞれに支払いします。みなが元請けです。施工の監理は設計屋が行います。設計屋は、施主のコンサルタントとして関与します。分離発注とは、工事責任の分散、債務者負担の分散、という言い方もできます。売り掛けも残さず買い掛けも残さない、財務のリスクを回避する工夫です。ゼネコンや大手の住宅販売会社は本社管理費や莫大な宣伝費を価格に転嫁しています。そのためCM方式をとることはできません。

どうすれば債務者になることから免れるか、どうすればリスクを回避できるのか。小さな会社の財務を守るために、知っておくべき発想です。大きなところは、どうすれば下請けや代理店に債務者リスクを転嫁できるか、そんなことばかりを考えているところです。金融業者の連帯保証人制度もその発想です。

消費税の時代に売上高は目標になりません。目標は付加価値です。債務者リスクは回避すること。債務者リスクから逃げまわること。これも営業努力です。

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